Last Updated on 2026年5月14日 by oba3
暗号資産市場では、常に売り手と買い手が十分に存在するとは限りません。
売りたい人はいるのに買い手が少ない。
買いたい人はいるのに売り手が少ない。
こうしたズレが大きくなると、取引は成立しにくくなり、価格も大きく動きやすくなります。
そのギャップを埋める存在が、マーケットメーカーです。
マーケットメーカーは、常に買い注文と売り注文を提示し、市場に流動性を供給します。
この仕組みがあることで、暗号資産市場ではスムーズな売買と連続的な価格形成が可能になります。
この記事でわかること
- マーケットメーカーとは何か
- なぜ市場に必要なのか
- スプレッドで利益を得る仕組み
- 注文板と価格形成への影響
- ETF時代のマーケットメーカーの役割
- CME先物やヘッジとの関係
- CeFiのマーケットメーカーとDeFiのAMMの違い
マーケットメーカーとは何か
マーケットメーカーとは、市場に買い注文と売り注文を出し続けることで、流動性を提供する参加者です。
取引所、専業業者、金融機関、アルゴリズム取引業者などがこの役割を担うことがあります。
市場に十分な注文がない場合でも、マーケットメーカーが注文を提示することで、売買が成立しやすくなります。
つまりマーケットメーカーは、市場の空白を埋める存在です。
価格が飛びすぎないようにし、取引が連続的に行われる環境を作っています。
なぜマーケットメーカーは必要なのか
市場では、売りたい人と買いたい人のタイミングが常に一致するわけではありません。
買い手が少ない時に大きな売り注文が出れば、価格は急落しやすくなります。
売り手が少ない時に大きな買い注文が入れば、価格は急騰しやすくなります。
マーケットメーカーは、この需給のズレを緩和します。
買い注文と売り注文を提示し続けることで、取引が成立しやすい状態を保ちます。
この役割によって、市場全体の流動性と安定性が支えられています。
マーケットメーカーはどのように利益を得るのか
マーケットメーカーは、主にスプレッドから利益を得ます。
スプレッドとは、買値と売値の差のことです。
例えば、100円で買う注文と101円で売る注文を同時に出せば、その差額が利益になります。
マーケットメーカーは、この小さな差を大量の取引で積み重ねます。
ただし、利益を得る代わりに常に市場へ注文を出し続ける必要があります。
そのため、価格変動リスクや在庫リスクも抱えています。
注文板とマーケットメーカーの関係
注文板とは、現在の買い注文と売り注文が並んでいる場所です。
マーケットメーカーは、注文板の買い側と売り側の両方に注文を配置します。
これにより、注文板に厚みが生まれます。
注文板が厚い市場では、大きな注文が入っても価格が急に飛びにくくなります。
反対に、注文板が薄い市場では、少しの注文でも価格が大きく動きます。
つまりマーケットメーカーは、注文板の厚みを作ることで価格形成を支えています。
注文板と価格形成はこちら注文板と価格形成の仕組み
マーケットメーカーは価格形成にどう関わるのか
価格は、買い注文と売り注文のバランスによって形成されます。
マーケットメーカーは、その両側に注文を出すことで、価格形成に関わっています。
買いが強い場面では売り注文を提示し、売りが強い場面では買い注文を提示します。
この動きによって、一方向に価格が偏りすぎることを抑えやすくなります。
もちろん、マーケットメーカーが価格を完全に安定させるわけではありません。
しかし流動性を提供することで、極端な値動きを緩和する役割を持っています。
ETF時代のマーケットメーカー
ビットコイン現物ETFの登場によって、マーケットメーカーの役割はさらに重要になりました。
ETF市場では、ETF価格とビットコイン現物価格の間にズレが生じることがあります。
この価格差を調整するために、マーケットメーカーや裁定取引を行う参加者が関わります。
ETFに資金が入ると、単純に現物市場だけで価格が動くわけではありません。
マーケットメーカーは、現物、先物、ETF、カストディ市場をまたいでリスクを調整します。
そのためETF時代のビットコイン市場では、マーケットメーカーは単なる注文提供者ではなく、証券市場と暗号資産市場をつなぐ調整役でもあります。
ETF資金フローはこちらETF資金流入でもBTC価格が伸びない理由
CME先物とヘッジの関係
マーケットメーカーは、価格変動リスクを管理するために先物市場を使うことがあります。
特にビットコイン市場では、CME先物が機関投資家やヘッジ取引の重要な場になっています。
例えばETF関連の取引や大口注文を処理する際、マーケットメーカーは現物市場だけでなく、先物市場を使ってリスクを調整します。
これにより、ETFへの資金流入があっても、同時に先物市場でヘッジが行われ、価格への影響が緩和されることがあります。
つまり現在のBTC価格形成は、現物市場だけでなく、CMEやデリバティブ市場とも強く接続しています。
CMEについてはこちらCME Groupとは?
CeFiのマーケットメーカーとDeFiのAMM
中央集権型取引所では、人間や企業、アルゴリズム取引業者がマーケットメーカーとして注文を出します。
一方、DeFiではAMMという仕組みが使われることがあります。
AMMは、自動マーケットメーカーのことで、流動性プールに預けられた資産を使って取引を成立させます。
CeFiのマーケットメーカーは注文板に売買注文を出します。
AMMは流動性プールと数式によって価格を決めます。
どちらも市場に流動性を提供する仕組みですが、価格形成の方法は異なります。
AMMについてはこちらAMMの仕組みとは?
ステーブルコインとマーケットメーカー
暗号資産市場のマーケットメイクでは、ステーブルコインも重要です。
USDTやUSDCは、多くの取引ペアで基軸通貨のように使われています。
マーケットメーカーは、BTCやETHだけでなく、ステーブルコインを使って注文を提示することがあります。
ステーブルコイン流動性が厚い市場では、売買が成立しやすくなります。
反対にステーブルコイン流動性が低下すると、注文板が薄くなり、価格が動きやすくなることがあります。
つまりステーブルコインは、マーケットメーカーが市場へ流動性を供給するための重要な資金基盤でもあります。
ステーブルコインはこちらステーブルコインとは?
流動性が低下すると何が起きるのか
マーケットメーカーが注文を引き上げると、市場の流動性は急速に低下します。
注文板が薄くなり、少ない注文でも価格が大きく動きやすくなります。
この状態では、スプレッドが広がり、スリッページも大きくなります。
特に市場不安が強まる局面では、マーケットメーカーがリスクを避けて注文を減らすことがあります。
その結果、売りが売りを呼び、価格変動がさらに拡大することがあります。
流動性危機とは、単に資金が少ない状態ではなく、市場を支える注文が消える状態でもあります。
個人トレーダーは何を見るべきか
個人トレーダーがマーケットメーカーの存在を直接見ることは簡単ではありません。
しかし、流動性の状態は注文板やスプレッドからある程度確認できます。
見るべきポイントは以下です。
- スプレッドが広がっていないか
- 注文板が薄くなっていないか
- 大口注文で価格が飛びやすくないか
- 出来高が急減していないか
- ステーブルコイン建ての流動性があるか
市場構造を理解すると、価格の動きだけでなく、「その価格で本当に売買できるか」を確認できるようになります。
関連テーマ
- 暗号資産の市場構造とは?
- 流動性とは何か
- 資金フローの見方
- 注文板と価格形成の仕組み
- ETF資金流入でもBTC価格が伸びない理由
- ビットコイン先物とは?
- CME Groupとは?
- AMMの仕組みとは?
- ステーブルコインとは?
Web3Timesの視点
マーケットメーカーは、暗号資産市場を裏側で支える重要な存在です。
彼らは単に利益を得るために取引しているだけではありません。
売りと買いの注文を提示し、市場が止まらないように流動性を供給しています。
特に現在は、ETF、CME先物、ステーブルコイン、AMMなど、複数の市場が接続しています。
その中でマーケットメーカーは、価格形成の調整役として機能しています。
価格が動く時、その裏側では誰かが注文を出し、誰かがリスクを引き受けています。
Web3Timesでは、マーケットメーカーを単なる専門用語ではなく、「市場を成立させる価格形成インフラ」として見ていきます。

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