ウーバーがHSBCなどとカントン上でトークン化MMFの時間外換金を実証、運用資金を週末の支払いに充てる経路を検証

Last Updated on 2026年11月4日 by oba3

Oba3と黒犬・茶犬が、ウーバーによるトークン化預金でのMMF購入と週末の一部換金をたどり、支払先への着金には別途送金経路が関わることを学ぶ4コマ漫画。

米HSBC銀行(HSBC Bank USA)は2026年10月30日、配車サービス大手のウーバー(Uber)を実証参加企業として、カントン・ネットワーク(Canton Network)上で企業の資金管理を検証したと発表した。ウーバーはトークン化した銀行預金で短期金融市場ファンド(MMF)の持分を購入し、週末を含む市場時間外に保有分の一部を換金できることを確かめた。HSBCの公式発表

目次

何が起きたのか?

実証では、ウーバーがHSBCのトークン化預金を使い、資産運用会社フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)のトークン化MMF持分を、取引基盤のトレードウェブ(Tradeweb)を通じて購入した。ファイアブロックス(Fireblocks)がウォレット基盤を提供し、カントン上でファンド持分と代金の受け渡しを連動させた。

その後、保有する持分の一部を週末にも換金できることを実証した。発表で示されたのは、参加企業と金融機関を結んだ資金管理の試験結果だ。取引金額や商用提供の開始時期は、発表で明らかにされていない。カントン・ネットワークの発表

なぜ重要なのか?

企業の財務部門は、取引先への支払いなどに備えつつ、当面使わない資金を短期商品で運用する。週末に支払いが発生しても運用資産をすぐ換金できない場合は、あらかじめ現金を多めに確保しておく必要がある。その分、短期運用に回せる資金は少なくなる。

運用資産を必要な時間帯に換金できれば、保有中の運用収益を得ながら、支払いに備える資金の置き方を見直せる。今回の実証が検証したのは、そのために投資商品と銀行預金を同じネットワーク上で受け渡す経路だ。

市場構造への影響

銀行は決済に使う預金を、運用会社は投資先となるファンドを提供する。そこに取引基盤とウォレットを接続することで、企業は購入、保有、換金を一連の業務として扱える。ファンド持分をトークンで記録するだけでは、市場時間外に支払いへ使える資金は得られない。換金に応じる相手と代金を受け取る仕組みがそろって初めて、資金管理の選択肢になる。

商用化を評価する際は、カントン上で受け取った資金をどの支払先へ届けられるかも問われる。相手が対応する預金トークンを受け取れず、既存の銀行送金に切り替える必要がある場合、最終的な着金時間はその送金経路にも左右される。

資金・規制・流動性との関係

週末に一部の持分を換金できたことは、実証の条件下で資金を取り出せたことを示す。実際の企業財務に採用するには、時間外に処理できる金額、手数料、換金価格の決め方を確かめる必要がある。複数の企業が同時に換金を求めたとき、誰が代金を用意するかも、流動性を評価するうえで欠かせない。

また、預金トークンとMMF持分では、利用者が持つ権利や資金を戻す条件が異なる。企業が支払いに使える資金として計上するには、台帳の残高に加えて、預金の利用条件やファンドの換金条件を個別に確認することになる。

初心者向け補足

MMFは、国債などの短期金融資産で運用するファンドだ。トークン化MMFの持分を持つことは、ファンドに投資している状態を指す。対して、トークン化預金は銀行預金をブロックチェーン上で扱えるようにしたもので、今回の実証では購入代金として使われた。

購入時の決済には、資産の引き渡しと代金の支払いを連動させるDVP(Delivery versus Payment)を用いた。ファンド持分だけが先に渡り、代金が届かないといった片側だけの受け渡しを防ぐための仕組みだ。

Web3Timesの視点

この実証で企業財務にとって意味があるのは、週末の支払いに備えて金曜のうちに運用を切り上げる必要があるか、という具体的な業務に踏み込んだ点だ。今後は、参加企業の拡大や時間外の取引額に加え、換金した資金を実際の支払いに充てるまでの時間と費用を確認したい。そこまで分かれば、企業が手元に置く予備資金をどの程度見直せるかを評価できる。

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