モルガン・スタンレーがDTCC基盤で米国株と米国債をトークン化、既存の証券保管とブロックチェーンの接続を実践

Last Updated on 2026年11月5日 by oba3

Oba3と黒犬・茶犬が、モルガン・スタンレーによるDTCCの証券トークン化サービス利用を入口に、保管証券との対応と移転・売買・代金決済の役割を学ぶ4コマ漫画。

モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)が、米証券保管振替機関DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)のサービスを利用し、米国株と米国債をトークン化したと明らかにした。既存の証券保管基盤にある資産を、権利を維持したままブロックチェーン上でも扱う取り組みだ。取引所の新市場開設とは役割が異なり、機関投資家が証券を保有・移転する実務の変化として捉える必要がある。

目次

何が起きたのか?

アンチェインド(Unchained)の報道によると、モルガン・スタンレーは2026年11月3日の投稿で、DTCCのトークン化サービスを使って米国株と米国債をトークン化したと説明した。同サービスは10月28日に稼働しており、同行は開始後の初期利用銀行の一つとなる。

ただし、対象銘柄、トークン化した金額、同行が利用したブロックチェーンは公表されていない。顧客資産を扱ったのか、自己保有資産なのかも明らかではなく、利用開始の事実と事業規模の評価は分けて読む必要がある。

なぜ重要なのか?

今回の取り組みは、新たな証券を発行するというより、既存の証券に対する権利を別の保有形態でも扱えるようにするものだ。DTCC傘下の証券保管会社DTC(Depository Trust Company)が保管する証券を裏付けに、対応するトークンを作る仕組みを利用する。

モルガン・スタンレーは、サービス開始時に利用契約を結んだ20社に含まれていた。今回は契約先として名前が挙がる段階から、実際のトークン化を説明する段階へ進んだ点に意味がある。ただし、他の契約企業も同じ規模や用途で利用しているとは限らない。

市場構造への影響

証券市場では、売買を成立させる取引市場と、証券の保管や取引後の処理を支える機関が異なる役割を担う。今回のDTCCサービスは、保管されている証券とブロックチェーン上の記録を結び付ける仕組みであり、ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange)の新たな取引基盤計画とは区別される。

そのため、モルガン・スタンレーの発表から、対象証券が新市場で広く売買され始めたとまでは判断できない。トークン化した証券を誰が保有し、どこへ移転でき、どの取引先が受け入れるかによって実際の用途は変わる。保管形態の変更が売買や担保利用につながるには、受け手側の業務対応も必要となる。

資金・規制・流動性との関係

DTCCの公式発表によると、サービスは2025年12月の米証券取引委員会(SEC)によるノーアクションレターを踏まえて整備された。対象にはラッセル1000指数の構成銘柄、主要指数に連動する上場投資信託、米国債が含まれる。ノーアクションレターは、示された条件の下で執行措置を勧告しないという当局スタッフの見解であり、あらゆる証券取引への包括的な承認とは異なる。

トークン化は証券の移転や担保差し入れを扱いやすくする可能性があるものの、それ自体が新たな資金流入を示すわけではない。既存の保有資産をトークンへ切り替えた場合、表現方法が変わっても投資額が増えるとは限らず、流動性への効果は実際の取引や利用状況で確かめる必要がある。

初心者向け補足

証券のトークン化とは、株式や債券に関する権利を、ブロックチェーン上のデジタル記録で扱えるようにすることだ。今回の仕組みでは、従来の証券を裏付けとし、所有に伴う権利や経済的利益、投資家保護を維持する設計が示されている。

DTCCの公式商品ページは、登録されたウォレット間での同一チェーン内の移転に24時間365日対応すると説明している。ただし、証券を移せることと、いつでも希望価格で売却して代金を受け取れることは別の機能だ。売買には相手方や価格形成が必要であり、代金の決済条件も確認する必要がある。

Web3Timesの視点

今回注目したいのは、大手金融機関が既存の保管制度を使いながら、証券をトークンとして扱う実務に踏み込んだ点だ。取引所が売買の場を整える動きと合わせて見ることで、証券の保管、移転、売買、決済のどこが変わっているのかを理解しやすくなる。

今後は、トークン化残高や対象銘柄に加え、顧客の利用、担保としての受け入れ、継続的な移転実績が確認点となる。利用開始を市場全体への普及と同一視せず、従来の証券管理と比べてどの業務が改善したのかを追うことが、今回の取り組みを評価する手掛かりになる。

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