ソラナで日次SOL焼却量を最大約14倍へ増やす案、手数料を保有者とバリデーターへどう配分するかが焦点

Last Updated on 2026年8月7日 by oba3

ソラナ(Solana)で、取引が使用するネットワーク資源に応じて手数料を課し、その新設分をすべて焼却する提案が検討されている。提案どおり導入された場合、現在は約650SOLとされる1日当たりの焼却量が、推計で7500SOLから9000SOL程度へ増える可能性がある。

これは単純に既存手数料の焼却比率を引き上げる案ではない。固定料金を中心とする現在の仕組みを、取引が要求する計算量やデータ利用量に応じた料金体系へ組み替える内容だ。注目点は価格への影響ではなく、ネットワーク利用者が支払う手数料を、SOL保有者と取引を処理するバリデーターの間でどのように配分するかにある。

目次

何が起きたのか?

提案されているのは、ソラナ改善文書のSIMD-0553「基本包含手数料と資源連動型手数料」である。2026年6月3日に作成され、8月6日時点では草案の段階にあり、ネットワークへの導入が決まったわけではない。

現在のソラナでは、基本手数料として署名1件当たり5000ランポートが課され、半分の2500ランポートが焼却され、残り半分が取引を取り込んだリーダーバリデーターへ支払われる。優先手数料は別に設定され、現在は全額がリーダーへ渡る。

SIMD-0553は、この仕組みを二つに分ける。取引をブロックへ取り込む対価として、1取引当たり2500ランポートの基本包含手数料をリーダーへ全額支払う。そのうえで、取引が要求する計算量、署名検証、書き込み対象、読み込むデータ量などを基に資源連動型手数料を計算し、この部分を全額焼却する。

資源連動型手数料の料率は一度に最終水準へ引き上げず、コスト単位当たり10分の1、4分の1、2分の1ランポートの3段階で導入する設計となっている。ウォレット、アプリ、RPC事業者、バリデーターへの影響を確認しながら進めるためだ。

提案文書では、現在の処理量を毎秒約3000件とした場合、基本手数料から焼却されるSOLは1日約648SOLと試算されている。資源連動型手数料が最終段階まで導入されれば、利用状況に応じて日次焼却量が7500SOLから9000SOL程度へ増えるとの推計が報じられている。ただし、実際の焼却量は取引数だけでなく、各取引が要求する資源量によって変動する。

なぜ重要なのか?

今回の変更は、SOLの供給量だけを調整する提案ではない。どの取引がネットワークへ大きな負荷をかけているかを手数料へ反映する制度変更でもある。

現在は、処理の軽い送金と、複数のプログラムや大量のデータを使う複雑な取引でも、固定部分の料金差が小さい。SIMD-0553が導入されれば、より多くの計算資源やデータを要求する取引ほど、原則として高い資源連動型手数料を負担する。

この方式では、ネットワーク全体で処理される資源への対価が特定のリーダーへ集中せず、焼却を通じて流通供給量から除かれる。提案者は、資源連動型手数料をリーダーへ配ると、高負荷な取引を優先する動機や、バリデーター間の収益差を複雑化させる恐れがあるとしている。

市場構造への影響

焼却は、SOLを特定の利用者へ直接配る仕組みではない。流通可能なSOLを減らすため、経済的にはSOL保有者全体へ広く作用する。一方、バリデーターは基本包含手数料と優先手数料を引き続き受け取る。

この配分によって、取引を処理したリーダーだけが追加料金を受け取るのではなく、基本的な包含報酬を確保しながら、資源利用に応じた料金を焼却へ回す構造になる。現在バリデーターが受け取っている2500ランポート相当を維持する設計のため、既存収益を直接削減する案とは異なる。

ただし、取引の種類によって影響は均一ではない。計算量の大きい分散型取引所、複雑なルーター、ボット、データを多く読み込むアプリは、軽量な送金より負担が増える可能性がある。開発者には、要求する計算単位やデータ量を抑える動機が強くなる。

手数料が資源利用を正確に反映すれば、安価な固定料金を利用した大量送信や、必要以上の計算資源を予約する取引への抑制にもつながる。反対に、料金設定が高すぎれば、ソラナの強みである低コストの利用体験を損なうため、段階導入後の実測が重要になる。

資金・規制・流動性との関係

ソラナでは、ステーキング報酬などを通じて新しいSOLが継続的に発行されている。提案文書は、現在の発行量を1日約6万SOLとし、約650SOLの日次焼却では供給増加を相殺する規模に達していないと説明している。

日次焼却量が7500SOLから9000SOLへ増えても、それだけで直ちに新規発行量を上回るわけではない。焼却案を単独で見れば、供給増加の一部をネットワーク利用料で相殺する変更であり、ソラナが常に供給減少へ移ることを保証するものではない。

また、資源連動型手数料の導入案とは別に、SOLのインフレ率が低下する速度を速める提案も議論されている。両方が採用された場合、新規発行を減らす仕組みと、利用に応じて焼却する仕組みが同時に供給へ作用する。ただし、それぞれ別の変更であり、承認や実装も個別に確認する必要がある。

バリデーター収益では、基本包含手数料と優先手数料が残る一方、新しい資源連動型手数料は収益にならない。取引需要が増えても、その増加分のすべてがバリデーターへ渡るわけではないため、ステーキング報酬、優先手数料、運用費を合わせて採算を評価することになる。

初心者向け補足

焼却とは、SOLを誰も使えないアドレスへ移すなどして、流通可能な供給から恒久的に除く処理である。利用者が支払った手数料を企業やバリデーターが受け取るのではなく、消滅させる仕組みと考えると分かりやすい。

バリデーターは、取引を確認し、ブロックを作成してソラナを動かす参加者である。設備費や通信費を負担するため、ステーキング報酬や取引手数料が運営の収入になる。

今回の案では、取引を掲載するための基本料金はバリデーターへ払い、ネットワーク資源を多く使う部分の料金は焼却する。この分離によって、ブロックへ取引を入れる最低限の動機を維持しながら、高負荷な利用を供給量の調整へ結び付けようとしている。

Web3Timesの視点

日次焼却量が約10倍以上になるという数字は分かりやすいが、制度の中心はSOLを減らすことだけではない。ネットワーク利用者が支払った価値を、処理を担当したバリデーターへ渡すのか、焼却によって保有者全体へ広く還元するのかという配分変更である。

SIMD-0553は、現在バリデーターが受け取る基本報酬を残しながら、新しい資源料金を焼却する折衷案を採る。バリデーター収益を急に削らず、取引負荷に応じた料金制度を導入できる点が支持材料となる一方、複雑なアプリや高頻度取引の負担は増える。

今後確認すべきなのは、提案が正式な投票へ進むか、3段階の料率がどの時期に有効化されるか、取引種類ごとの実際の料金がいくらになるかである。推計上の日次焼却量だけでは、利用者負担とバリデーター収益への影響を判断できない。

ソラナの手数料制度は、安さだけを競う段階から、誰がネットワーク資源の費用を負担し、その手数料を誰へ帰属させるかを設計する段階へ入っている。今回の提案は、SOL保有者、バリデーター、アプリ開発者の利害を一つの料金体系で調整できるかを試すものとなる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Web3をやさしく解説するOba3

目次