Cboeがビットコインとイーサリアムの3倍ETF上場をSECへ申請、暗号資産レバレッジが証券口座の商品体系へ入り込む

Last Updated on 2026年8月17日 by oba3

米国のCboe BZX取引所が、ビットコイン(Bitcoin)とイーサリアム(Ethereum)の1日当たりの値動きに対して3倍の投資成果を目指すETFを上場するため、米証券取引委員会(SEC)へ規則変更を申請した。対象はVSトラスト(VS Trust)の3x Bitcoin ETFと3x Ether ETFで、主に先物を使って日次3倍のエクスポージャーを構築する。重要なのは倍率そのものではない。暗号資産市場で先物や無期限先物を使わなければ得にくかった高レバレッジの価格変動が、通常の証券口座から売買できるETFとして標準化される可能性が出てきたことだ。

目次

何が起きたのか?

Cboe BZX取引所は2026年8月10日、3倍のビットコインETFと3倍のイーサリアムETFを含む6商品の上場を可能にする規則変更案をSECへ提出した。SECは8月14日に提出内容を公表し、審査手続きに入った。

暗号資産以外では金、銀、原油、天然ガスを対象とする3倍ETFも同じ申請に含まれている。つまり今回の提案は暗号資産だけを特別扱いするのではなく、コモディティ型ETFの上場制度の中にビットコインとイーサリアムを組み込もうとするものだ。

3x Bitcoin ETFは、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されるビットコイン先物の期近と翌限月を組み合わせた基準価格について、手数料などを差し引く前で日次3倍の投資成果を目指す。3x Ether ETFも同様に、CMEのイーサリアム先物を中心に運用する設計となっている。

両商品は現物のビットコインやイーサリアムを直接3倍保有するETFではない。基本的には先物、現金、現金同等物を利用し、必要に応じて暗号資産連動型ETPやETF、上場オプションなども利用できる設計だ。また今回の提出は上場承認そのものではなく、SECによる審査が残っているため、現時点で商品の上場が決定したわけではない。

なぜ重要なのか?

米国では現物型ビットコインETFやイーサリアムETFが登場したことで、証券口座から暗号資産価格へアクセスする経路がすでに整ってきた。次に進み始めているのが、単純な現物価格への連動だけでなく、レバレッジやステーキングなど暗号資産固有またはデリバティブ型の収益構造をETFへ組み込む段階だ。

3倍ETFが認められれば、利用者は暗号資産先物口座を開設したり、暗号資産取引所へ担保を送ったりしなくても、通常の証券口座から高い価格エクスポージャーを取れるようになる可能性がある。

これはレバレッジへのアクセス経路を変える。これまで暗号資産市場で高倍率の取引を行う場合、先物取引所やオンチェーンの無期限先物市場が主要な場所だった。ETFに同様の経済的機能が入れば、ブローカー、証券取引所、ETF運用会社という伝統金融側の流通網でもレバレッジ商品を提供できるようになる。

市場構造への影響

今回の申請を読むうえで重要なのは、暗号資産のレバレッジ取引が新しく生まれるわけではないことだ。ビットコインやイーサリアムにはすでに巨大な先物市場や無期限先物市場が存在し、高倍率の取引自体は以前から可能だった。

変わる可能性があるのは、その機能を誰が提供するかだ。3倍ETFが上場すれば、ETF運用会社が先物市場でポジションを組成し、投資家には株式と同じ形式のETF持分として提供する。投資家自身が証拠金管理や先物のロールを行わなくても、運用会社がその処理を内部で担うことになる。

その結果、暗号資産取引所と証券市場の機能差はさらに小さくなる。現物価格への投資だけでなく、レバレッジまで証券口座に組み込まれれば、暗号資産市場で使われてきた取引機能の一部がETF商品として再構成されるためだ。

一方、ETF形式になったからといって値動きのリスクが小さくなるわけではない。むしろ価格変動の大きい暗号資産へ3倍の日次エクスポージャーを設定するため、短期間でも基準価格から大きく変動する可能性がある。

資金・規制・流動性との関係

3倍ETFの上場は、暗号資産への資金流入経路を増やすだけでなく、その裏側にあるCME先物市場の重要性を高める可能性がある。ETFが投資家から資金を受け入れれば、運用会社は目標とする倍率を維持するため先物や関連商品でポジションを調整する必要がある。

特にレバレッジETFでは、価格変動に合わせて日々エクスポージャーを再調整する。ビットコインが上昇または下落すれば、翌日の3倍という目標を維持するために先物ポジションの増減が必要になる。この再調整が大規模になれば、ETF市場とCMEの暗号資産デリバティブ市場の資金移動がより密接になる可能性がある。

制度面で注目されるのは、Cboeが既存のコモディティ型ETFの上場枠組みを使おうとしている点だ。暗号資産専用の新しい取引制度を一から作るのではなく、金や原油などで使われてきた証券市場の仕組みに暗号資産エクスポージャーを組み込む方向となっている。

ただしSECの承認はまだ得られていない。審査では市場監視、価格形成、先物市場の流動性、投資家保護などが論点になり得る。したがって現段階では、暗号資産3倍ETFが米国で標準商品になったのではなく、その制度化を試す申請が提出された段階と見る必要がある。

初心者向け補足

3倍レバレッジETFとは、対象資産の長期的な値動きを単純に3倍にする商品ではない。基本的には1日ごとの値動きについて3倍の成果を目指す商品だ。

例えばビットコインの基準価格がある日に1%上昇した場合、3倍ETFは手数料などを考慮する前で約3%の上昇を目標とする。反対に1%下落すれば、約3%の下落を目指すことになる。

数日以上保有した場合は毎日の値動きを再計算するため、ビットコインが一定期間で10%上昇したからETFが必ず30%上昇するとは限らない。上下動を繰り返す市場では複利効果によって差が大きくなることがあり、特に暗号資産のように変動率が高い市場では重要な特徴となる。

Web3Timesの視点

Web3Timesが今回見るのは、ビットコインやイーサリアムを3倍で取引できること自体ではない。暗号資産市場で発達したレバレッジという機能が、どの制度を通じて一般の証券市場へ移されるかだ。

現物ETFの登場によって、投資家は暗号資産取引所へ資金を移さなくてもBTCやETHの価格へアクセスできるようになった。その次にステーキングやレバレッジまでETFへ入れば、証券口座で提供できる暗号資産エクスポージャーの種類は大きく増える。

ここで中心になるのは暗号資産そのものではなく、ETFという包装と流通網だ。ブローカー口座、証券取引所、CME先物、ETF運用会社を組み合わせれば、暗号資産市場で使われていた取引機能を既存金融の中へ移植できる。

今後見るべきなのは3倍という数字の派手さだけではない。SECがどの条件で上場を認めるのか、商品が実際に上場した場合にCME先物の建玉や流動性がどう変わるのか、さらに異なる暗号資産や倍率へ商品設計が広がるのかが重要になる。暗号資産ETFの次の競争は現物を証券化する段階から、暗号市場で使われてきたレバレッジ機能まで証券市場の標準商品へ変換できるかという段階へ進み始めている。

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