韓国が2027年2月から全種類の証券トークン化市場を段階展開、発行・流通・決済を全国インフラとして再設計へ

Last Updated on 2026年9月5日 by oba3

韓国が2027年2月から、株式、債券、ファンドなど幅広い証券を対象とするトークン化市場を段階的に整備する計画を進めている。個別の不動産や債券をトークン化する実証ではなく、証券市場そのものをデジタル証券に対応させる制度整備として位置付けられる点が重要だ。発行、所有者記録、取引、決済までを一体で整備できれば、トークン化証券は一部のRWA商品ではなく、既存資本市場の新しい発行・流通方式として扱われる可能性がある。

目次

何が起きたのか?

韓国では、証券を分散型台帳技術などを使って電子的に発行・管理するセキュリティ・トークン制度の本格導入に向け、2027年2月から市場を段階的に展開する計画が進められている。対象は特定の資産クラスに限定せず、株式、債券、ファンドなど既存の証券を広く含む方向だ。

計画では市場整備を複数段階に分け、まず発行と口座管理の制度基盤を整え、その後に取引や流通市場を拡大し、最終的には幅広い証券商品をデジタル形式で扱える体制を目指す。従来の電子証券制度を残しながら、トークン化された証券も同じ法的枠組みの中で扱えるようにすることが中心になる。

ただし、すべての証券が2027年2月から一斉にオンチェーン化されるわけではない。市場は段階的に展開される予定で、実際の対象商品、参加金融機関、利用する技術基盤、取引開始時期などは制度実装に合わせて順次具体化される見通しだ。

現時点で注目すべきなのは、トークン化を新しい資産カテゴリーとして別市場に切り出すのではなく、既存の証券法制と市場インフラの中へ組み込もうとしている点である。

なぜ重要なのか?

これまでRWA市場では、不動産、プライベートクレジット、国債、ファンドなど特定の商品をトークン化する案件が中心だった。多くの場合、既存資産をブロックチェーン上のトークンとして表現し、それぞれ個別の発行体やプラットフォームが流通を管理してきた。

韓国の構想は、その一段先を目指す。個別商品をトークン化するのではなく、株式や債券を含む証券市場全体について、トークン化された形式でも発行・管理・流通できる法制度を整えようとしているためだ。

この違いは大きい。個別のRWA案件では、商品ごとに発行会社、カストディ、取引市場を組み合わせる必要がある。一方、全国レベルの制度が整えば、証券会社、取引所、中央預託機関、投資家が共通ルールの下で複数種類のトークン化証券を扱えるようになる余地がある。

市場構造への影響

韓国の制度整備で重要なのは、証券のデジタル化が発行段階だけで終わらないことだ。証券市場では、誰が保有者なのかを記録し、売買注文を成立させ、証券と資金を受け渡し、配当や償還などの企業行為を処理する必要がある。

これらをトークン化証券に対応させるには、発行企業だけでなく証券会社、取引所、口座管理機関、決済インフラが同じ制度に入る必要がある。韓国が全国市場として整備を進めれば、ブロックチェーンは証券を表示するための技術ではなく、市場参加者を結ぶ共通台帳の一部として利用される可能性がある。

特に株式、債券、ファンドを一つの制度で扱えるようになれば、トークン化市場と既存証券市場を別々に維持する必要性は小さくなる。証券の法的性質は同じまま、発行・保有・移転の方式だけをデジタル化するモデルへ近づくためだ。

一方、実際にどこまでブロックチェーン上で処理するかは今後の制度設計による。中央管理型の記録基盤と分散型台帳を組み合わせる可能性もあり、すべての市場機能がパブリックチェーンへ移ると決まったわけではない。

資金・規制・流動性との関係

全国規模の制度が整う意味は、トークン化証券へ資金を呼び込む入口が共通化されることにある。機関投資家にとっては、個別のブロックチェーン商品ごとに法的構造を確認するより、既存の証券法と同じ枠組みで扱える方が参加しやすい。

証券会社も、自社の顧客確認、売買執行、カストディ、決済の仕組みをトークン化証券へ拡張できれば、従来の証券口座からそのままデジタル証券へアクセスできる可能性がある。これによりRWA市場への資金流入経路が暗号資産専用ウォレットや取引所だけに依存しなくなる。

流動性についても同様だ。トークン化しただけでは売買は増えないが、全国の証券会社や機関投資家が同じ制度で参加できれば、個別プラットフォームに分散していた注文を集めやすくなる。制度共通化は、流動性を形成するための前提条件になる。

ただし、24時間取引や即時決済がどこまで認められるかは別の問題だ。既存市場との整合、投資家保護、決済リスク、システム監督などを考慮しながら段階的に設計されることになる。

初心者向け補足

証券のトークン化とは、株式や債券の価値だけを暗号資産のようなトークンへコピーすることではない。本格的な制度では、そのトークンが法律上の証券として認められ、誰が保有しているかという記録や譲渡も正式な証券取引として扱われる必要がある。

例えば株式をトークン化する場合、単に株価に連動するデジタル商品を作る方法と、実際の株主権を持つ証券そのものをデジタル形式で発行する方法では意味が異なる。韓国が整備しようとしているのは後者を含む制度基盤だ。

また、全国市場ができるからといって一般投資家がすぐにすべての証券を24時間売買できるとは限らない。対象商品や取引時間、参加条件は段階展開の中で決まるため、制度開始と市場の全面移行は分けて見る必要がある。

Web3Timesの視点

今回を「韓国でもRWAが始まる」というニュースとして読むだけでは規模を捉えにくい。重要なのは、特定の不動産やファンドではなく、証券という資産カテゴリー全体をトークン化できる国家レベルの市場基盤を作ろうとしている点だ。

RWA市場のこれまでの成長は、個別資産をブロックチェーンへ載せることで進んできた。しかし市場が大きくなるほど、商品ごとに別々の発行・管理・取引基盤を持つ方式には限界が出る。韓国のように証券法、口座管理、流通市場まで共通化する動きは、その次の段階に当たる。

見るべきなのはトークン化される銘柄数だけではない。誰が正式な所有者記録を管理するのか、既存証券会社がどのように参加するのか、証券と資金の決済をどこまでオンチェーン化するのか、そして従来の市場と同じ流動性を共有できるかが重要になる。

これらが実現すれば、トークン化証券は暗号資産市場の新商品ではなく、株式や債券を発行・流通させる標準的な方法の一つになる可能性がある。韓国の2027年2月からの段階展開は、RWAを個別プロジェクトから国家規模の証券インフラへ引き上げられるかを見る重要な事例になる。

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