Last Updated on 2026年7月23日 by oba3
米国の暗号資産ETF市場で、ソラナ(Solana)とハイパーリキッド(Hyperliquid)に連動する商品への資金流入が確認されている。ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)の集計では、ソラナETFは2026年7月20日に260万ドル、21日に580万ドルの純流入を記録した。
一方、ハイパーリキッドETFは7月21日に70万ドルの純流出となっており、両資産へ同じ日に資金が集中したわけではない。ただし、ハイパーリキッドETFは5月の取引開始後から累計資金を積み上げ、7月上旬にも複数の商品で流入を記録した。今回見るべきなのは、単日の値動きではなく、アルトコイン投資需要が規制されたETFごとに選別されている点である。
何が起きたのか?
ソラナETFでは、7月6日にビットワイズ(Bitwise)のBSOLへ840万ドルが流入した。その後は流出や資金移動の少ない日を挟んだものの、20日に260万ドル、21日に580万ドルが再び流入した。21日の資金はBSOLへ集中しており、ソラナETF全体へ均等に配分されたわけではない。
ハイパーリキッドETFでは、7月6日に840万ドル、7日に430万ドル、8日に330万ドルの純流入が記録された。ビットワイズのBHYPに加え、21シェアーズ(21Shares)の商品にも資金が入ったが、10日には570万ドル、13日には390万ドル、17日には550万ドルの純流出が発生した。
ファーサイドの集計によると、ハイパーリキッドETFの累計純流入額は7月22日時点で約3億700万ドルとなっている。ソラナETFの累計値には、既存商品の転換や取引開始前の初期資産が含まれるため、単純な合計額だけで新規需要を比較するのは適切ではない。
したがって、ソラナとハイパーリキッドが常に並んで資金流入を主導していると断定することはできない。確認できるのは、ビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)以外のETFにも資金が向かい、その配分が日ごと、発行会社ごとに大きく変化していることである。
なぜ重要なのか?
暗号資産市場では、価格上昇率や時価総額ランキングが投資家の関心を示す指標として使われやすい。しかし、ETFの資金フローを見ると、話題になっている資産と、証券口座から実際に資金が入る商品が一致するとは限らない。
ETFを利用する投資家は、トークンの値動きだけでなく、商品の手数料、流動性、運用会社、ステーキング収益の扱い、保管体制なども比較する。アルトコインへの関心が高まっても、その資金がすべてのETFへ均等に流れるわけではなく、条件の異なる商品から選別される。
ソラナの場合、複数のETFが存在する一方、直近の流入は特定商品へ偏っている。ハイパーリキッドでも、累計では資金を集めながら、日次では流出する日がある。これはアルトコインETF市場が、単純な資産人気ではなく、発行会社間の競争を伴う段階へ入っていることを表している。
市場構造への影響
ビットコイン現物ETFの登場によって、暗号資産へ投資する経路は暗号資産取引所だけではなくなった。ソラナやハイパーリキッドの商品が増えたことで、証券口座を使う投資家は、複数のブロックチェーンやプロトコルを比較しながら資金を配分できるようになった。
この変化は、アルトコイン市場に新しい選別機能を加える。暗号資産取引所では多数のトークンを売買できるが、ETFとして提供される資産は、発行体、取引所、保管会社、規制手続きを通過した一部に限られる。規制商品として採用されること自体が、証券市場から資金を受け入れる条件になる。
さらに、ETF市場では資産同士だけでなく、同じ資産を扱う商品同士も競争する。手数料が低い商品、取引量が多い商品、ステーキング収益を効率的に反映する商品へ資金が集中すれば、後発商品は同じトークンを保有していても十分な規模を確保できない可能性がある。
アルトコインETFの拡大は、すべてのトークンへ資金が広がる状況を意味しない。むしろ、限られた投資資金が、商品化された資産と運用会社の間で細かく配分される構造を強める。
資金・規制・流動性との関係
ETFは、暗号資産用ウォレットを管理せずに投資できるため、証券口座を持つ投資家へ新しい導線を提供する。ただし、日次の流入額だけから購入者が機関投資家か個人投資家かを判別することはできない。確認できるのは、規制された証券商品を通じて資金が移動したことまでである。
ソラナとハイパーリキッドでは、ネットワークの用途や収益源も異なる。ソラナは決済、アプリケーション、トークン発行など幅広い利用を持つ一方、ハイパーリキッドは永久先物を中心とするオンチェーン取引基盤との結び付きが強い。ETF購入者は、同じアルトコインとしてではなく、異なる事業テーマへの投資として評価している可能性がある。
流動性については、純流入があるだけで十分とはいえない。ETFの売買高、売値と買値の差、運用資産残高、マーケットメーカーの参加が小さければ、大口注文によって価格が動きやすくなる。特に新しい商品では、一日の資金流入が大きく見えても、翌日に流出へ転じることがある。
ステーキングを含むETFでは、報酬の分配方法や運用会社が差し引く割合も重要になる。トークン価格が同じ動きをしても、手数料とステーキング条件の違いによって投資家が受け取る成果は変わるため、資金が特定商品へ集中する要因になり得る。
初心者向け補足
ETFの純流入とは、一定期間に商品へ入った資金から、解約などで外へ出た資金を差し引いた金額である。純流入がプラスでも、その資産価格が必ず上昇するわけではない。現物市場の売却、先物取引、市場全体の動きなども価格へ影響する。
アルトコインは、一般にビットコイン以外の暗号資産を指す。ソラナとハイパーリキッドはどちらもアルトコインに分類されるが、技術、用途、利用者、収益の仕組みは大きく異なる。
また、ETFへの投資はトークンを直接保有することとは異なる。投資家が持つのはファンドの持ち分であり、ネットワーク上の投票やアプリ利用にトークンを直接使えるわけではない。保管やステーキングも運用会社の仕組みを通じて行われる。
Web3Timesの視点
今回の資金フローで見るべきなのは、ソラナやハイパーリキッドの価格が話題になったことではない。証券口座から入る資金が、どの資産、どの発行会社、どの条件の商品を選んだかである。
ソラナETFは7月20日と21日に流入を記録したが、資金は主に一つの商品へ集中した。ハイパーリキッドETFは累計では一定の規模を築いたものの、7月中旬には流出日も確認されている。この差から、アルトコインETF需要を一方向の機関買いとして扱うことはできない。
今後は各商品の純流入だけでなく、運用資産残高、日次売買高、手数料、ステーキング収益の配分を比較する必要がある。流入が一時的なテーマ取引なのか、継続的な資産配分なのかは、数週間から数カ月の残高推移で判断すべきだ。
アルトコインのETF化は、暗号資産市場全体へ均等に資金を広げる仕組みではない。規制商品として採用された資産の中から、さらに運用条件と流動性による選別が行われる。ソラナとハイパーリキッドを巡る動きは、価格ランキングとは別に、証券市場が独自の基準でアルトコイン需要を絞り込む段階へ入ったことを示している。
