野村系レーザー・デジタルが日本で暗号資産交換業登録を取得、日本の認可市場が約4年ぶりに新規参入を受け入れる局面へ

Last Updated on 2026年8月22日 by oba3

野村ホールディングス(Nomura Holdings)傘下のデジタル資産事業会社レーザー・デジタルの日本法人が、日本で暗号資産交換業者として登録された。国内で新たな事業者が登録されるのは2022年以来、約4年ぶりとされる。注目すべきなのは海外系企業が日本へ進出したことだけではない。長期間、新規登録が限られてきた日本の暗号資産市場で、大手金融グループを背景に持つ事業者が正式なライセンスを取得したことで、機関投資家向けサービスを含む新たな競争を受け入れる余地が見え始めたことだ。

目次

何が起きたのか?

レーザー・デジタル・ジャパン(Laser Digital Japan)は2026年8月21日、資金決済法に基づく暗号資産交換業者として関東財務局への登録を完了した。登録番号は関東財務局長第00032号。日本国内で暗号資産交換業者の新規登録が行われるのは2022年以来、約4年ぶりとなる。

同社は2023年10月に日本法人を設立し、国内市場への参入準備を進めてきた。登録後はまず国内の暗号資産交換業者などに対してサービスを提供し、市場の流動性向上を目指す方針を示している。将来的には日本の機関投資家へデジタル資産の取引機会を提供することも検討しているが、具体的なサービス開始時期や商品内容は現時点では公表されていない。

レーザー・デジタルは野村グループのデジタル資産事業を担い、海外では運用や取引など機関投資家向け領域を展開してきた。今回の登録によって、その事業基盤を日本国内でも正式な規制枠組みの中へ置くことになる。

なぜ重要なのか?

日本では暗号資産交換業を営むために金融当局への登録が必要で、事業者には顧客資産管理、マネーロンダリング対策、セキュリティー、内部管理など幅広い体制整備が求められる。過去の大規模な資産流出事件などを受けて監督が強化され、新規事業者が容易に参入できる市場ではなくなっていた。

その中で約4年ぶりに新規登録が実現したことは、単なる事業者数の増加以上の意味を持つ。厳格な登録制度を維持しながら、新しい事業者を受け入れる段階へ日本市場が移れるかを測る一例になるためだ。とりわけ今回の参入主体が、大手証券グループを母体とする機関系事業者である点は重要になる。

市場構造への影響

レーザー・デジタルが最初から個人向け取引所を前面に出さず、暗号資産交換業者へのサービス提供や流動性向上を掲げている点は、日本市場の次の競争領域を示している。今後の競争は、個人投資家を獲得する取引アプリだけではなく、機関投資家が大口取引を行うための価格提示、執行、カストディー、流動性供給などへ広がる可能性がある。

機関投資家が市場へ入るためには、暗号資産そのものへの関心だけでは不十分だ。規制に沿った取引相手、十分な市場の厚み、社内審査に耐えられる管理体制が必要になる。大手金融グループ系の事業者が国内ライセンスを持つことで、こうした条件を満たす選択肢が一つ増えることになる。

資金・規制・流動性との関係

野村とレーザー・デジタルが2026年に実施した国内運用担当者518人への調査では、65%が暗号資産を分散投資の機会として捉えていた。また、今後3年間で暗号資産への投資を検討している回答者のうち79%が投資予定を持つと回答している。ステーキング、融資、デリバティブ、トークン化資産などへの関心も6割を超えた。

ただし、投資意欲がそのまま実際の資金流入につながるわけではない。機関投資家には取引相手の信用、規制上の扱い、会計、カストディー、十分な流動性といった条件がある。レーザー・デジタルの登録は、このうち国内で規制された取引基盤という部分を補う動きとして見ることができる。

今後は同社がどの暗号資産やサービスを扱うのか、どの事業者へ流動性を提供するのか、機関投資家向け事業をいつ開始するのかが注目点になる。登録取得だけで市場への資金流入が確定するわけではなく、実際のサービス内容と取引量を確認する必要がある。

初心者向け補足

暗号資産交換業者とは、暗号資産の売買や交換、その媒介、顧客資産の管理などを業務として行うために登録を受けた事業者を指す。日本では2017年から登録制度が導入されており、海外で暗号資産サービスを提供している企業でも、日本国内で対象業務を行う場合には原則として国内制度への対応が必要になる。

そのため今回の登録は、レーザー・デジタルが単に日本へ営業拠点を置いたという話とは異なる。日本の監督制度の中で暗号資産事業を展開するための正式な入口を得たという点が重要になる。

Web3Timesの視点

今回のニュースを「野村系企業が暗号資産市場へ参入した」とだけ捉えると、変化の一部しか見えない。より重要なのは、約4年間ほとんど動かなかった新規登録の入口が再び開き、しかも最初の目立った参入者が機関金融を背景に持つ企業だったことだ。

日本はこれまで、利用者保護を優先する厳格な暗号資産規制によって市場の安全性を高める一方、新規参入の難しさも抱えてきた。今後、監督水準を維持したまま機関系、銀行系、証券系の事業者を受け入れられるなら、日本の暗号資産市場は既存交換業者中心の構成から、流動性供給や機関取引、ステーブルコイン、トークン化資産まで含む複数の金融サービスが競う市場へ広がる余地がある。

レーザー・デジタル一社の登録だけで政策転換と断定するのは早い。ただし次の新規登録が続くのかを見ることで、日本の暗号資産制度が「参入を制限するための枠組み」から「条件を満たした事業者を選別して受け入れる枠組み」へ変わり始めているかを判断できる。今回の登録は、その境目を測る一つの事例になった。

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