チャールズ・シュワブがSOL・AVAX・LINKの現物取引追加を発表、証券口座が暗号資産の直接流通チャネルへ広がる

Last Updated on 2026年8月28日 by oba3

米大手金融サービス会社チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)が、ソラナ(Solana)、アバランチ(Avalanche)、チェーンリンク(Chainlink)の現物取引を数カ月以内に追加する。2026年5月から段階展開しているビットコイン(Bitcoin)とイーサリアム(Ethereum)に続く対象拡大となる。今回見るべきなのは3銘柄が追加されること自体ではない。株式やETF、銀行サービスを利用してきた顧客が、暗号資産取引所へ資金を移さず同じ金融グループの環境から暗号資産を直接売買できるようになり、証券会社が暗号資産の販売網として存在感を強めていることだ。

目次

何が起きたのか?

チャールズ・シュワブは2026年8月27日、シュワブ・クリプト(Schwab Crypto)でSOL、AVAX、LINKを追加する計画を発表した。具体的な提供開始日は決まっていないが、同社は数カ月以内に顧客が3資産を直接売買できるようにするとしている。今後も対応する暗号資産やデジタル資産を増やす方針だ。

シュワブ・クリプトは2026年5月から米国の個人顧客向けに段階展開され、現在はBTCとETHを扱っている。暗号資産口座はチャールズ・シュワブ・プレミア・バンク(Charles Schwab Premier Bank)が提供し、顧客資産のカストディーも同銀行が担う。パクソス(Paxos)はサブカストディーと取引執行の基盤を提供している。

取引手数料は売買金額の0.75%。シュワブのウェブサイト、モバイルアプリ、thinkorswimから伝統資産と暗号資産を並べて確認・取引できる。現時点のシュワブ・クリプトは米国の個人向けサービスで、ニューヨーク州とルイジアナ州、米国外などでは利用できない。したがって今回の発表を、機関投資家向けの直接取引開始と捉えるのは正確ではない。

なぜ重要なのか?

これまで証券会社の顧客が暗号資産へ投資する場合、現物ETFなどを証券口座で購入するか、資金をコインベースなどの暗号資産取引所へ移して現物を買う方法が中心だった。シュワブ・クリプトはその分断を縮め、既存の金融サービスの中に現物暗号資産の取引機能を直接置く。

シュワブは2026年6月末時点で約13兆ドルの顧客資産を抱える。こうした巨大な顧客基盤を持つ企業がBTCとETHだけでなくSOL、AVAX、LINKまで取扱対象を広げることは、暗号資産の流通経路が専門取引所だけに依存しなくなっていることを示す。

市場構造への影響

暗号資産市場では長く、取引所が顧客獲得、資産保管、売買執行をまとめて担ってきた。シュワブの方式では、顧客との接点を伝統金融企業が持ちながら、銀行子会社と外部インフラ企業を使ってカストディーと執行を組み合わせる。

この構造が広がれば、暗号資産取引所の競争相手は別の暗号資産取引所だけではなくなる。証券会社や銀行が既存顧客の資金をそのまま暗号資産へ振り向けられるようになれば、ブランド、顧客サポート、資産管理画面、株式との一体運用なども取引先を決める要素になる。

一方、現時点のシュワブ・クリプトは自己管理ウォレットを中心としたサービスではない。暗号資産を直接売買できても、ブロックチェーン上で自由に利用することと、金融口座内で価格エクスポージャーを保有することは区別して見る必要がある。

資金・規制・流動性との関係

シュワブの強みは、新しい暗号資産ユーザーをゼロから獲得する必要がない点にある。株式、ETF、現金、銀行サービスをすでに利用している顧客が同じ画面から暗号資産へ資金を配分できれば、資産クラス間の移動が簡単になる。

今回追加される3資産はビットコインやイーサリアムより市場規模が小さいため、大手証券会社の販売網へ入る意味も異なる。流通チャネルが拡大すれば、新しい投資家がアクセスしやすくなる一方、シュワブは市場、規制、運用、リスクの状況によって発表済み資産の対応を変更または撤回する場合があるとしている。

また、シュワブ・クリプトで提供される暗号資産は銀行預金ではなく、FDIC保険やSIPC保護の対象でもない。証券口座と同じ画面で利用できても、株式や預金と同じ法的保護を受けるわけではない点は重要だ。

初心者向け補足

現物取引とは、暗号資産の価格に連動するETFや先物ではなく、実際の暗号資産そのものを口座内で購入する仕組みを指す。シュワブでは顧客が注文を出し、プレミア・バンクと外部インフラを通じて売買と保管が行われる。

ただし、暗号資産を直接取引できることと、自分で秘密鍵を管理することは別だ。今回のサービスは証券会社に近い利用体験を保ちながら暗号資産へアクセスする設計であり、自己管理ウォレットを使うオンチェーン利用とは異なる入口になる。

Web3Timesの視点

今回注目すべきなのはSOL、AVAX、LINKという銘柄選定ではなく、シュワブの口座そのものが暗号資産の販売チャネルへ変わり始めたことだ。BTCとETHだけの試験的な入口から対象資産を広げることで、暗号資産を一つの独立した市場ではなく、株式やETFと並ぶ顧客ポートフォリオの一部として扱う方向が明確になった。

暗号資産専門取引所には多数の銘柄、ウォレット送金、オンチェーンサービスという強みが残る。一方、伝統金融側には巨大な既存顧客基盤、銀行口座、資産管理サービスという強みがある。今後の競争では、何銘柄上場しているかだけでなく、顧客が資金をどこから最も少ない摩擦で暗号資産へ動かせるかが重要になる。

シュワブがさらに対応資産を増やし、将来的に機関顧客や外部ウォレットなどへ機能を広げるかはまだ決まっていない。現時点で確認できるのは個人向け直接取引の拡張だ。それでも13兆ドル規模の顧客資産を持つ金融グループが暗号資産の取扱範囲を段階的に広げていることは、暗号資産への入口が専門取引所から既存金融口座へ分散していく過程として重要になる。

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