Last Updated on 2026年11月7日 by oba3

米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は2026年11月6日、対象となる米金融機関に対し、暗号資産取引所MEXC Globalとの間の資金移転を禁止する命令を公表した。FinCENの発表によると、当局は同取引所が制裁回避やサイバー犯罪に関連する少なくとも160億ドルの取引を仲介したと判断した。命令の発効は、米連邦官報への掲載から30日後となる。
何が起きたのか?
FinCENは、MEXC Globalがイラン、北朝鮮、ロシアに関連する制裁回避やサイバー犯罪に関わる資金移動を仲介し、一部では制裁対象者と直接取引したと説明した。公表資料では「少なくとも160億ドル」とされ、命令本文では2021年5月から2026年5月までに不正活動との関連が疑われる資金移動を167億ドルと評価している。この金額は行政措置の根拠となった当局の評価であり、個々の取引について司法手続きで確定した違反額とは区別される。
MEXCは、法務・コンプライアンス部門と命令の内容を精査していると発表した。同社の公式声明によると、声明時点で入出金と取引サービスは通常どおり稼働している。
なぜ重要なのか?
命令は、ロシアに関連する資金洗浄に対処する米国法(Combating Russian Money Laundering Act)第9714条に基づく。FinCENの命令原文では、対象となる米金融機関にMEXC Globalとの間の資金移転を取り扱わないよう求めている。対象となる資金移転には暗号資産も含まれる。措置の適用範囲を読むうえでは、MEXCの資産を一律に凍結する措置と、金融機関が特定の相手との資金移転を処理できなくなる措置を分けて考える必要がある。今回の命令が直接制限するのは後者だ。
市場構造への影響
海外の暗号資産取引所は、取引の場を自社で運営していても、法定通貨の入出金や事業者間の決済では外部の金融機関や決済業者と接続している。取引所と直接契約する銀行が米国外にあっても、送金の途中に米金融機関が入る経路がある。こうした経路が使えなくなれば、提携先は資金の送り先や受け取り元を確認し、取り扱う経路やサービスの範囲を見直す可能性がある。
資金・規制・流動性との関係
入出金や決済の経路が変わると、取引所間で資金を移す事業者や、売買注文を出して流動性を供給する事業者にも影響が及び得る。ただし、どの取引ペアで売買のしやすさが変わるかは、各事業者が利用する決済経路や代替手段によって異なる。FinCENが示した167億ドルは過去の資金移動に関する評価であり、命令の発効に伴って失われる取引高や流動性の規模は、その数字からは読み取れない。
初心者向け補足
取引所の画面で暗号資産を売買することと、その代金を銀行口座から入金したり、別の事業者へ送金したりすることには、それぞれ異なる仕組みが使われる。たとえば、取引所内で売買注文が成立しても、出金先までの経路で対象の金融機関が資金移転を扱えなければ、その経路での出金は制限される。どこに影響が出るかを把握するには、取引サービスの稼働状況と、資金が通る決済経路の両方を見る必要がある。
Web3Timesの視点
今回の命令で焦点となるのは、米国外で運営される取引所でも、米金融機関が関わる資金移転には米国の規制が及ぶことだ。今後は、連邦官報への掲載を起点とする発効日と、発効前後に取引所や提携先が公表する入出金経路の変更を分けて確認したい。利用者や取引相手への影響は、どの事業者がどの通貨・決済経路の取り扱いを変えるかで具体化する。
