トランプ大統領がCFTCによるハイパーリキッドの米国展開支援に言及、オフショア型永久先物を連邦規制市場へ取り込めるかが焦点に

Last Updated on 2026年8月20日 by oba3

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が2026年8月19日、商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ(Michael Selig)委員長が、分散型デリバティブ市場ハイパーリキッド(Hyperliquid)を米国へ「完全に適法な形」で持ち込む方法に取り組んでいると発言した。現時点でCFTCがハイパーリキッドの米国営業を正式承認したわけではなく、具体的な登録形態や開始時期も公表されていない。それでも、海外中心に成長してきたオンチェーン永久先物市場を締め出すのではなく、米規制市場へ接続する方法を行政側が検討していることは重要だ。焦点はHYPE価格ではなく、暗号資産デリバティブの巨大な取引需要をどの制度の中へ取り込めるかにある。

目次

何が起きたのか?

トランプ大統領は8月19日、CFTCのセリグ委員長について、ハイパーリキッドを米国へ適法かつ規制に準拠した形で参入させる方法に取り組んでいると発言した。発言を受けて市場ではHYPEが上昇したが、今回確認された中心事実は価格変動ではなく、米政府側がハイパーリキッドの国内展開について検討しているという点だ。

ただし、CFTCからハイパーリキッド向けの新たなライセンスや登録承認が発表されたわけではない。また、ハイパーリキッド本体がどの法人や市場構造を通じて米国へ参入するのかも明らかになっていない。そのため現時点では、米国参入が確定したニュースではなく、CFTCが適法な経路を検討している段階として捉える必要がある。

ハイパーリキッドは独自レイヤー1上で完全オンチェーン型の注文板を運営し、永久先物と現物取引を提供する。永久先物は満期を持たないデリバティブで、資金調達率を使いながら現物価格との乖離を抑える。こうした商品は長く海外の暗号資産取引所や分散型市場が中心となってきた。

一方、CFTCは2026年5月、米国の登録市場で真正な暗号資産永久先物を上場できる道を正式に開いた。すでに米登録取引所ではビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、ソラナ(Solana)、XRPなどに関連する永久先物が制度内へ入り始めており、ハイパーリキッドを巡る検討もこの流れの延長線上にある。

なぜ重要なのか?

暗号資産デリバティブ市場では、永久先物が主要商品になっている。一方、米国では長く規制上の制約が強く、取引需要の多くが海外取引所やオンチェーン市場へ流れてきた。

この分断が変われば、米国の機関投資家や適格な市場参加者が、これまでオフショア中心だった取引形態へ国内規制の下からアクセスできる可能性が出てくる。重要なのは、海外市場をそのまま米国へコピーできるかではなく、CFTCの市場監視、顧客保護、清算、資本規制とオンチェーン型の取引設計をどう接続するかだ。

ハイパーリキッドは中央集権型取引所とは異なり、注文、約定、資金調達率、清算などをブロックチェーン上で処理する。この仕組みを米規制下へ取り込むには、誰を登録主体とするのか、顧客確認をどこで行うのか、スマートコントラクトと市場運営者の責任をどう分けるのかといった制度問題を解く必要がある。

市場構造への影響

これまで米国と海外では、暗号資産デリバティブの市場構造が大きく分かれていた。米国では登録取引所や規制された仲介業者を中心に商品が提供され、海外では高レバレッジの永久先物や24時間取引が急速に拡大してきた。

CFTCがハイパーリキッドのようなオンチェーン市場を適法に接続できれば、この境界は薄くなる可能性がある。米国の規制枠組みを維持しながら、24時間取引、永久先物、オンチェーン注文板など海外市場で先行した機能を国内へ取り込めるためだ。

これは既存の米デリバティブ取引所にも影響する。CMEなど伝統的な市場運営者だけでなく、オンチェーン技術を使う新規事業者もCFTC規制下で競争できるなら、執行速度、取引時間、透明性、証拠金効率などが新しい競争軸になる。

ただし、ハイパーリキッドの現在の仕組みがそのまま米国で提供されるとは限らない。米国向けに別のフロントエンド、登録法人、顧客管理、商品範囲を設ける可能性もあり、制度対応によって現在の分散型設計がどこまで維持されるかは未公表だ。

資金・規制・流動性との関係

永久先物市場では、流動性が大きな競争力になる。取引参加者、マーケットメーカー、清算可能な担保が多いほど、大口注文を小さな価格差で処理しやすくなる。

もし米国の機関資金が規制された経路からオンチェーン永久先物へアクセスできるようになれば、現在海外へ集中している暗号デリバティブの流動性の一部が米規制市場へ移る可能性がある。ただし、実際の資金移動は商品設計、レバレッジ上限、資本要件、顧客資格などによって変わる。

CFTCは2026年に、登録取引所での暗号資産現物商品や永久先物の上場を相次いで認めている。つまり今回の発言だけが突然出てきたわけではなく、海外へ流れていた暗号資産取引を連邦規制の下へ戻す政策の一部として見ることができる。

一方、CLARITY Actなど包括的な市場構造立法はまだ最終成立していない。行政規則やCFTCの監督判断だけでも一定の市場整備は進められるが、長期的な法的安定性については議会立法が必要との指摘も続いている。ハイパーリキッドの米国展開が進んだとしても、行政判断だけで制度全体が確定するわけではない。

初心者向け補足

永久先物とは、通常の先物と違って満期日がないデリバティブだ。利用者はポジションを維持し続けることができ、現物価格との乖離を抑えるために資金調達率という定期的な支払いが使われる。

ハイパーリキッドは、この永久先物の注文や清算を独自ブロックチェーン上で処理する市場だ。中央集権型取引所の内部データベースだけで管理するのではなく、取引処理をオンチェーンで行う点が特徴になる。

今回トランプ大統領が述べたのは、CFTCがハイパーリキッドを米国へ適法に持ち込む方法へ取り組んでいるという内容であり、米国でのサービス開始が決定したという発表ではない。登録形態、提供商品、開始時期は今後確認する必要がある。

Web3Timesの視点

Web3Timesが今回見るのは、ハイパーリキッドが米国へ進出するかという企業ニュースだけではない。焦点は、海外中心に発展したオンチェーン永久先物市場を、米国が規制の外へ置き続けるのか、それとも自国の監督市場へ取り込むのかという制度転換だ。

暗号資産デリバティブでは、商品開発の多くが米国外で先行してきた。永久先物、24時間取引、オンチェーン注文板はその代表例だ。米当局がこれらを禁止対象ではなく、規制市場へ接続できる金融技術として扱うなら、市場競争の前提が変わる。

ただし本当の難題は、ハイパーリキッドという名称を米国で使えるかではない。分散型の注文執行、証拠金管理、清算、ウォレット接続を、CFTCが求める市場監視や顧客保護とどう両立させるかにある。ここが実装できれば、米国は海外で成長した暗号資産市場を規制によって排除するのではなく、国内市場へ吸収する別のモデルを示すことになる。

今後注目されるのは、HYPEの価格や米国参入時期だけではない。ハイパーリキッドがどの登録形態を選ぶのか、現在のオンチェーン設計をどこまで維持できるのか、米機関投資家がどの範囲まで永久先物へアクセスできるのか、そして他の海外デリバティブ事業者にも同じ経路が開かれるのかが焦点になる。暗号資産デリバティブ市場の次の競争は、海外市場を利用するか米国市場を利用するかではなく、オンチェーン型の取引基盤をどのように連邦規制市場へ接続するかを巡って進み始めている。

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