フィギュアの融資市場取引量が43億ドルへ拡大し売上高も倍増、RWAの焦点がトークン化残高から信用市場の実取引へ移る

Last Updated on 2026年8月14日 by oba3

ブロックチェーンを基盤とする融資市場を展開するフィギュア・テクノロジー・ソリューションズ(Figure Technology Solutions)が、2026年第2四半期に大幅な事業拡大を記録した。消費者ローン市場の取引量は43億ドルと前年同期比132%増え、純売上高は2億2600万ドルと113%増加した。さらに純利益は8700万ドルまで伸びている。今回見るべきなのは、ブロックチェーン上に何十億ドルのRWAが存在するかという残高だけではない。住宅担保融資など実世界の信用を組成し、それを資金提供者へ売却し、二次市場で継続的に流通させる仕組みが実際の取引量と収益を生み始めている点にある。

目次

何が起きたのか?

フィギュアは2026年8月13日、6月30日までの第2四半期決算を発表した。消費者ローン市場の取引量は42億5900万ドルで、前年同期の18億3800万ドルから132%増加した。会社が示した43億ドルという数字には、住宅担保融資などの組成に加え、第三者ローンがフィギュア・コネクト(Figure Connect)で取引された金額も含まれる。

このうちフィギュア・コネクトの取引量は27億7300万ドルに達し、前年同期の7億6700万ドルから262%増加した。消費者ローン市場全体の約65%を占めている。フィギュア・コネクトは2024年6月に開始された市場で、ローンを組成する金融機関と、それを購入する資本提供者を結び付ける役割を担う。

業績面では純売上高が2億2559万ドルとなり、前年同期の1億607万ドルから113%増加した。純利益は8744万ドルで前年同期比192%増、調整後EBITDAは1億1938万ドルと126%増えた。純利益率は38.8%、調整後EBITDAマージンは54.6%となっている。

市場参加者も増えている。フィギュアは第2四半期だけで102社の融資組成パートナーを追加し、住宅ローン会社、銀行、フィンテックなどを含む稼働パートナー数は489社となった。7月時点では週間の融資申込額が10億ドルを超えたとしている。

なぜ重要なのか?

RWA市場では、米国債やプライベートクレジットなどがブロックチェーン上に何ドル存在するかという残高が成長指標として注目されてきた。しかし信用市場では、残高だけでは市場が機能しているかを十分に判断できない。

融資には借り手、融資を組成する金融機関、その債権を購入する投資家、資金を供給する金融機関が必要になる。さらに一度組成されたローンが別の投資家へ売却されれば、資金を提供した側は回収した資本を次の融資へ回すことができる。この循環が続いて初めて、オンチェーン信用市場は単なる資産記録システムではなく資本市場になる。

フィギュアの数字で重要なのは、43億ドルという市場取引量のうち約28億ドルがフィギュア・コネクトを経由していることだ。自社がローンを組成して保有するだけではなく、第三者が作った信用資産まで市場へ集め、資本提供者との間で流通させる比率が高まっている。

これはRWA事業の評価方法を変える。オンチェーン残高が大きいかだけではなく、一定期間にどれだけ新しい信用が生まれ、その債権がどれだけ資本提供者へ移転したかを見る必要が出てくる。

市場構造への影響

フィギュアが構築しているのは、資産をトークン化して保管するだけの仕組みではない。同社は自らを、融資の組成、資金提供、売却、取引をつなぐブロックチェーンネイティブの資本市場として位置付けている。

従来の融資市場では、銀行やノンバンクがローンを組成した後、それを保有するか、証券化や相対取引を通じて別の投資家へ移す。この過程には複数の台帳、照合、契約、決済が関与する。フィギュアはこうした工程をブロックチェーン基盤へ集約し、信用資産をより標準化された形で資本提供者へ届けようとしている。

フィギュア・コネクトの取引量が全体の65%まで上昇したことは、このモデルを見るうえで重要だ。自社バランスシートを拡大することだけに依存せず、外部の融資会社と外部資本を市場で結ぶ比率が高まれば、より少ない自己資本で取引規模を拡大できる余地がある。

その場合、フィギュアの価値は保有するローン残高よりも、市場へどれだけ多くの借り手、融資組成会社、投資家を集められるかによって決まりやすくなる。ブロックチェーンは資産そのものではなく、信用を移転する共通台帳として使われることになる。

資金・規制・流動性との関係

信用市場では、資金の回転速度が重要になる。融資会社が住宅担保ローンを組成しても、そのローンを長期間自社で保有すれば資本が拘束される。一方、組成後にフィギュア・コネクトを通じて別の投資家へ売却できれば、得た資金を次の借り手への融資に使える。

このため二次流通が増えるほど、一つの金融機関が持つ自己資本だけに融資量を依存しない市場を作りやすくなる。2026年第2四半期のフィギュア・コネクト取引量が27億7300万ドルまで伸びたことは、オンチェーン信用市場を見る際に、この資本再配分の部分が無視できない規模になってきたことを示している。

一方、取引量の伸びと収益率は分けて見る必要がある。フィギュアの消費者ローン市場に対するネット・テイクレートは第2四半期に3.6%となり、前年同期の4.0%から低下した。市場規模が急拡大する一方で、取引1ドル当たりから得られる収益は同じ速度では増えていない。

それでも処理効率は改善している。フィギュアによると、オペレーションと処理にかかる費用は市場取引量に対して約0.67%となり、前年同期の約0.79%から低下した。オンチェーン融資市場が長期的な事業になるかを見る場合、取引量だけでなく、手数料率と処理コストの双方を確認する必要がある。

初心者向け補足

RWAはリアル・ワールド・アセット(Real World Asset)の略で、国債、不動産、融資債権など現実世界で生まれた資産や権利をブロックチェーン上で扱う考え方を指す。住宅担保融資も、借り手が返済することで価値を生む信用資産としてRWAの一つに位置付けられる。

ここでいう43億ドルは、フィギュアが43億ドルのローンを保有しているという意味ではない。四半期中に同社の消費者ローン市場で組成または取引された金額を表す指標だ。残高と取引量は分けて理解する必要がある。

また、フィギュア・コネクトは一般的な暗号資産の分散型取引所とは性格が異なる。住宅ローン会社や金融機関などが組成した信用資産と、それを購入したい資本提供者を結ぶ市場であり、ブロックチェーン技術を既存の融資・資本市場へ組み込む取り組みと考えると分かりやすい。

Web3Timesの視点

Web3Timesが今回注目するのは、フィギュアのブロックチェーン上に何十億ドルの資産が載っているかではない。43億ドルという四半期取引量の内側で、借り手から生まれた信用がどのように資本提供者へ移動しているかだ。

RWA市場が初期段階にある間は、資産をトークン化しただけでもニュースになる。しかし金融市場として定着するには、その資産を買う相手がいて、売却でき、再び資金が借り手へ戻る必要がある。フィギュア・コネクトが市場取引量の65%を占めるようになったことは、トークン化の焦点が発行から流通へ移る一つの材料になる。

さらにフィギュアは、取引量を増やしながら純売上高を前年同期比113%、純利益を192%伸ばした。これはオンチェーン信用市場が技術実証だけではなく、収益を伴う金融事業として成立し得ることを示す実績となった。一方、ネット・テイクレートは低下しているため、規模拡大だけで収益性が自動的に高まるわけではない。

今後見るべきなのはRWA残高ランキングではなく、フィギュア・コネクトを通じた第三者ローン取引がどこまで増えるのか、489社まで増えたパートナーが継続的に信用資産を供給するのか、そして取引量拡大と手数料率、処理コストをどのように両立させるのかだ。RWAの次の競争は資産をブロックチェーンへ載せた金額ではなく、借り手と資本を結び、信用を何度も市場の中で回せる仕組みを作れるかに移り始めている。

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