新韓資産運用がソラナなどとウォン建てトークン化ファンドを実証へ、韓国のSTO制度施行を前に公開チェーンを証券流通基盤として検証

Last Updated on 2026年8月22日 by oba3

韓国の大手運用会社、新韓資産運用(Shinhan Asset Management)が、韓国ウォン建て短期債ファンドをブロックチェーン上で発行・流通させる技術検証を進める。運用資産は約133.6兆ウォン、約966億ドルに達する。今回の焦点は単にファンドをトークン化することではない。銀行系の大手運用会社が、韓国のトークン証券制度の施行を見据え、公開ブロックチェーン上で本人確認、発行、流通、規制対応、オンチェーン流動性まで一体で動かせるかを事前に検証している点にある。

目次

何が起きたのか?

新韓資産運用は2026年8月21日、ソラナ財団(Solana Foundation)、規制対応型トークン化基盤のイーサーフューズ(Etherfuse)、オンチェーン流動性を提供するオルカ(Orca)との4者間で業務協約を締結した。対象となるのは、新韓資産運用が運用するウォン建て超短期債ファンドを海外機関投資家が購入し、その持分をトークンとして発行する構造だ。

検証では顧客確認、マネーロンダリング対策、ブロックチェーン運用、セキュリティー監査、外国為替関連法令への対応に加え、トークン化されたファンドをオンチェーンでどのように流通させるかも確認する。現時点では非拘束的な業務協約に基づく技術検証であり、韓国内で一般投資家向け商品を正式発行する計画が決定したわけではない。検証対象も海外市場を前提としている。

新韓資産運用は8月14日にも、RWA特化型ブロックチェーンのプルーム(Plume)と同じウォン建て超短期債ファンドを使った技術検証で協力すると発表している。1週間の間に複数の公開チェーン系インフラとの実証を打ち出したことから、特定チェーンへの単純な採用ではなく、制度施行後に利用できる発行・流通方式を比較しながら準備している段階と見る方が実態に近い。

なぜ重要なのか?

韓国では2026年1月、電子証券法と資本市場法の改正案が国会を通過し、ブロックチェーン上の分散台帳を証券の正式な記録基盤として利用できる法的枠組みが整えられた。制度は2027年2月4日の施行が予定されており、金融当局は発行、流通、技術基盤、決済などの詳細設計を進めている。

新韓資産運用の実証は、この制度が始まってから技術開発を始めるのではなく、施行時点で使える運用能力を先に確保しようとする動きだ。ブラックロック(BlackRock)のトークン化ファンドBUIDLを参考にしながら、ドル資産ではなくウォン建て金融商品をオンチェーンへ載せる点にも違いがある。

市場構造への影響

従来の証券市場では、資産運用会社が商品を組成し、証券会社、保管機関、決済機関など複数の主体を経由して投資家へ届ける。トークン化では、このうち保有記録や移転の一部を分散台帳上で処理できるようになるため、ブロックチェーンが単なる暗号資産ネットワークではなく証券業務の基盤として使われる余地が生まれる。

今回、新韓資産運用が確認しようとしているのも発行だけではない。規制に適合した投資家だけが参加できる仕組みと、発行後の流通や価格形成を同じ技術基盤上でどう組み合わせるかが対象になっている。公開チェーンを利用しながら金融機関に必要な管理要件を満たせるかが、実用化に向けた重要な条件になる。

資金・規制・流動性との関係

トークン化した証券を発行しても、売買相手が存在しなければ市場としては機能しにくい。そのため今回の実証では、オルカなどを通じたオンチェーン流動性の設計まで検証対象に含まれている。ウォン建て短期金融資産を海外のオンチェーン市場へ接続できれば、現在ドル建て資産が中心となっているRWA市場に別通貨の商品を持ち込む経路となり得る。

ただし、実際の資金流入はまだ発生していない。商品規模や正式な発行時期も公表されておらず、国内展開には韓国の制度整備や当局の確認が必要になる。現段階で確認できるのは、新韓資産運用が制度開始を前提として技術・規制・流動性の各要件を同時に検証しているというところまでだ。

初心者向け補足

トークン化ファンドとは、ファンドそのものを暗号資産に変えるという意味ではない。短期債などを保有する既存の金融商品に対する権利を、ブロックチェーン上のトークンとして記録・移転できるようにする仕組みだ。投資対象が証券である以上、トークン化しても証券規制から外れるわけではない。

今回のような実証では、誰でも自由にウォレットから購入できる仕組みを目指しているわけでもない。本人確認やマネーロンダリング対策を維持したうえで、従来金融の権利管理と公開ブロックチェーンの移転機能をどこまで組み合わせられるかを試している。

Web3Timesの視点

新韓資産運用の動きをRWA銘柄や特定チェーンの採用ニュースとして見るだけでは、本質を捉えにくい。重要なのは、韓国でトークン証券を正式な証券形式として扱う制度が始まる前から、大手金融グループ系の運用会社が公開チェーン上で発行から流通まで動かす準備を始めたことだ。

さらに、ソラナだけでなくプルームでも並行して検証している点は、金融機関側がブロックチェーンを一つの製品として選ぶのではなく、証券を載せる候補インフラとして比較し始めていることを示す。今後はチェーンの処理性能だけでなく、本人確認、法令対応、資産管理、流動性、既存金融との接続性まで含めた競争になる。

2027年2月の制度施行後に新韓資産運用が実際の商品発行へ進むかはまだ決まっていない。ただ、制度整備と金融機関の技術準備が同時に動き始めたことで、韓国のRWA市場は実験段階から、どのインフラを証券市場へ組み込むかを選ぶ段階へ近づいている。

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