コインベースがMorpho経由で固定金利のBTC担保ローンを開始、オンチェーン信用が変動金利中心から期限付き金融商品へ広がる

Last Updated on 2026年9月24日 by oba3

コインベース(Coinbase)が2026年9月22日、モルフォ(Morpho)の固定金利・固定期間プロトコル「Morpho Midnight」を利用したビットコイン担保ローンを開始した。利用者はビットコイン(Bitcoin)を担保にUSDCを借り、契約時点で借入金利と返済期日を確定できる。これまでDeFi融資では市場の需給によって金利が動く変動型が中心だったが、今回の商品では資金コストと期間を事前に決められる。注目すべきなのは利回りの高さではない。固定金利、満期、担保管理という伝統的な信用商品の基本要素が、オンチェーン市場と大手取引所のユーザー基盤を通じて標準化され始めた点だ。

目次

何が起きたのか?

コインベースはMorpho Midnightを組み込み、BTCを担保としてUSDCを借りる固定金利ローンをアプリ内で提供し始めた。コインベースが利用者向け画面を担当し、モルフォが信用市場のプロトコルを提供、ベース(Base)がオンチェーン決済を担う。

借入時には金利と満期が確定する。現在は当月末または翌月末を期限とする商品が提供され、満期は各月の最終金曜日として設定される。具体的な金利は一律に公表されておらず、貸し手と借り手がオンチェーン上で提示する条件の需給によって決まる。

初期市場ではBTCをオンチェーン上のコインベース・ラップドBTC(Coinbase Wrapped BTC・cbBTC)として担保にし、USDCを借りる。満期までに返済されなければ貸し手が担保に対する請求権を持つ設計となっている。

コインベースはすでにMorpho Blueを利用した変動金利ローンを展開しており、こちらは約30億ドルの担保に対して14億ドル超のアクティブローンがある。ただし、この数字は既存の変動金利商品を含む規模であり、今回始まった固定金利ローンの残高ではない。

なぜ重要なのか?

従来のDeFi融資では、資金の利用率に応じて借入金利が変化する商品が一般的だった。柔軟性は高い一方、数週間後や数カ月後の借入コストを事前に確定しにくい。

固定金利と満期が入ると、借り手は契約時点で資金コストを把握でき、貸し手側も一定期間の収益条件を確認しやすくなる。この構造は、社債、銀行融資、レポなど伝統金融の信用市場で使われてきた期間管理に近い。

そのため今回の変化は、DeFiの金利商品が増えたというより、オンチェーン信用が期限と価格を持つ金融商品へ広がったと捉える方が分かりやすい。

市場構造への影響

Morpho Midnightでは、プロトコルが利用率から自動的に一つの金利を決めるのではなく、貸し手と借り手が希望する金利や満期を提示し、市場で条件を一致させる。固定金利そのものがオンチェーンで価格形成される仕組みだ。

これは信用市場に期間構造を作るうえで重要になる。同じUSDCでも、1カ月貸す場合と3カ月貸す場合で異なる金利が形成されれば、オンチェーン上にも期間ごとの資金価格を示す市場が生まれる。

さらにコインベースのような大規模な利用者基盤がフロントエンドを提供すれば、利用者はDeFiプロトコルを直接操作しなくてもオンチェーン信用市場へアクセスできる。金融商品の画面は中央集権型サービスにあり、信用契約と担保処理は公開型ネットワーク上で行うという分業が広がる可能性がある。

資金・規制・流動性との関係

固定金利になってもBTC価格の変動による担保リスクがなくなるわけではない。担保価値が低下すれば清算の可能性があり、満期までに返済できなければ担保処理が発生する。固定されるのは主に借入金利と期間であり、担保価値まで固定されるわけではない。

また固定金利市場には、満期ごとに十分な貸し手と借り手が存在する必要がある。変動金利プールでは資金を一つに集約しやすいが、固定期間商品では期間ごとに流動性が分かれるため、注文の厚みが金利形成へ直接影響する。

一方、予測可能な資金コストが形成されれば、個人向け借入だけでなく、将来的には企業向け信用やトークン化された株式、債券などを担保とする融資へ応用できる余地がある。モルフォはMidnightをこうした複数資産へ拡張できる設計としているが、現時点でコインベースの商品がそれらを提供しているわけではない。

初心者向け補足

変動金利ローンでは、借りている途中でも市場の資金需要によって金利が変わる。固定金利ローンでは、契約時に決めた条件が満期まで基本的に維持されるため、いくらのコストでいつまで借りるのかを把握しやすい。

今回の仕組みでは、利用者がBTCそのものを売却してUSDCを得るわけではない。BTCを担保として差し入れ、その価値を基にUSDCを借りる。ただし担保価格が大きく下落すれば、ローンを保全するための清算リスクは残る。

またコインベース自身が銀行のように一方的に金利を設定して貸し出す構造とも異なる。利用者との接点はコインベースが提供するが、信用市場の裏側ではMorpho MidnightとBaseが使われる。

Web3Timesの視点

今回を見るうえで重要なのは、固定金利が変動金利より有利かどうかではない。オンチェーン金融に、金利と満期を事前に確定する仕組みが大規模な消費者向けサービスを通じて組み込まれたことだ。

信用市場が機関金融へ近づくには、担保だけでなく期間と資金価格を管理できなければならない。Morpho Midnightはその部分を市場化し、コインベースは利用者への配布経路を提供する。プロトコル、取引所、ブロックチェーンがそれぞれ別の役割を担う構成になっている。

今後確認したいのは、固定金利ローンの残高がどこまで増えるか、満期ごとに十分な流動性が形成されるか、変動金利との金利差がどう推移するか、そしてBTC以外の担保へ同じモデルが広がるかだ。

DeFi信用の次の競争は、単に高い利回りを提示することではない。借入コスト、返済期限、担保処理を予測可能な形へ標準化し、既存金融と同じように資金計画へ組み込める商品を作れるかに移っている。今回の固定金利ローンは、その信用市場をオンチェーン上で組み立てる実例として位置付けられる。

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