アビバが約290億ドル規模の英ポンド建てファンドにトークン化持分を導入、既存運用を維持し保有・管理の経路を拡張

Last Updated on 2026年10月28日 by oba3

Oba3がファンド全体をチェーンへ移すと勘違いし、黒犬と茶犬との会話から、ファンド全体の規模と新クラスへの投資額の違い、既存の運用を維持して保有持分をチェーン上で表す仕組みを理解する4コマ漫画。

英国の保険大手アビバ傘下の運用会社アビバ・インベスターズ(Aviva Investors)は2026年10月26日、リップル(Ripple)と協力し、英ポンド建て短期金融資産ファンドにトークン化した持分クラスを導入したと発表した。利用するのはエックスアールピー・レジャー(XRP Ledger、以下XRPL)だ。ファンド全体の規模は約220億ポンド、米ドル換算で約290億ドルだが、今回の新クラスへのアビバの投資額は5000万ポンドであり、両者は区別する必要がある。

目次

何が起きたのか?

対象は、アビバ・インベスターズのスターリング・リクイディティ・ファンドだ。新クラスには、既存のファンド構造を維持しながら投資家の保有分をチェーン上で表す「デジタルツイン」方式を採用した。ファンド自体の運営はオフチェーンに残り、持分をデジタルウォレットで保有・管理するための仕組みが加わる。

同社は2026年7月に米ドル建てファンドでもトークン化持分を導入しており、今回は2つ目となる。約290億ドルは既存ファンド全体の運用資産額であり、その全額を今回チェーン上へ移したわけではない。新クラスへの5000万ポンドの投資は、トークン化された持分に対する具体的な資金配分を示している。

新クラスはデジタルウォレットを持つ適格な投資家が対象で、導入にはコマイヌ(Komainu)とリクイド(Licuido)が参加した。ファンド資産の保管はバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(The Bank of New York Mellon)が担う。

出典:アビバ・インベスターズによるトークン化持分クラス導入の公式発表

なぜ重要なのか?

今回の特徴は、投資対象を変えることよりも、既存商品へのアクセスと持分管理の方法を追加した点にある。従来の運用体制を活用できるため、機関投資家にとっては、商品そのものと管理基盤の変更を分けて検討しやすい。

同社によると、新クラスは従来のファンドと同じ投資目的、リスク特性、流動性の特徴、規制上の保護を備える。トークン化によって別の商品へ作り替えるのではなく、既存の金融商品にデジタルの保有経路を設ける取り組みと捉えられる。

市場構造への影響

ファンドには、集めた資金を運用する機能と、投資家ごとの保有持分を管理する機能がある。今回の導入では、運用会社や資産保管機関の役割を維持しながら、持分の発行・管理にチェーンを組み合わせる。既存の金融機関とデジタル資産の管理事業者が協働する構成だ。

この方式が広がれば、機関投資家が利用する保有・管理インフラは多様化する可能性がある。一方、導入の効果を測るには、チェーン上の記録と既存の管理記録が整合しているか、照合や移転にかかる作業が減るかまで確認する必要がある。トークンの発行だけで業務全体の効率化が完成するわけではない。

資金・規制・流動性との関係

対象ファンドはアイルランド籍のUCITS制度に基づくマネー・マーケット・ファンドで、高格付けの英ポンド建て短期債務商品を投資対象とし、日次の流動性を目指している。トークン化しても、保有資産の信用力や金利変動などが運用に影響する点は変わらない。

また、チェーンが常時動くことと、投資家がいつでも現金を受け取れることは別の条件である。購入・償還の受付や資金受け渡しは商品ごとの手続きに従うため、XRPLの利用だけを根拠に24時間の即時償還や自由な売買が実現したとは判断できない。

初心者向け補足

「持分」は、投資家がファンドのどれだけを保有しているかを表す権利で、「持分クラス」は同じファンド内に設けられる区分を指す。今回は、その区分の一つにトークン形式で投資できる仕組みを加えた。

「オンチェーン」はブロックチェーン上、「オフチェーン」はその外側を意味する。今回チェーン上で表現するのは投資家の保有持分であり、ファンドが保有する短期債務商品まですべて移すわけではない。また、マネー・マーケット・ファンドは預金とは異なり、トークン化しても元本が保証される商品にはならない。

Web3Timesの視点

約290億ドルという数字は取り組みの土台となるファンドの規模を示し、5000万ポンドは新クラスに投じられた資金を示す。この二つを分けると、大規模な既存商品にデジタルの管理経路を設け、具体的な資金を配分したという今回の到達点が見えてくる。

今後は、新クラスの保有額や利用者が増えるかに加え、持分管理や資金受け渡しの実務でどの程度の改善が生まれるかが観測点になる。既存の運用・保管体制を維持しながら利用価値を示せるかが、同様の導入が広がる条件になりそうだ。

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